2015年05月14日

歌舞伎ってテレビのヤツらがチャラけてる

歌舞伎ってテレビのヤツらがチャラけてるから、大して気にもしていなかったけど、日本版ミュージカルみたいなものだった。または和風オペラ。舞踊は忙しいし、声はデカイし、バックミュージックはオーケストラみたいに激しさも悲しさも持ち合わせていた。全体的に派手。飛び六法なんかは、絶対あの男優楽しんでんな、と思った。

ビデオの内容は、源義経と武蔵坊弁慶が奥州へ逃げる途中の物語「勧進帳」を見た。中学の頃の曖昧な記憶のまま見たが、先生の解説もあって見ていて心打つ場面があった。義経を敬っている弁慶が、疑いを晴らすため義経をボコボコにする場面だ。彼を殴り倒すことで、偉大な、崇高なる人なんかじゃないことを示すために、弁慶は苦しみながら殴る蹴る。後に弁慶が涙ながらに謝るが、義経はよくやったと褒める。それで弁慶は一層凄まじく泣く。

主従関係にあるご主人様にありとあらゆる暴行を加えるなんて、そうできない。ましてや、雇われなんかじゃなく我先に家来になった弁慶には。またそんな弁慶の思いを汲み取って褒めちゃう、優男な義経にも天晴れだ。そんな大きな飴玉を貰ったら、大のゴリマッチョでもその飴玉に匹敵するくらいの分の涙を流さざるを得ないのは当然だろう。

この物語は授業で覚えることの一片として脳内の隅っこに置いた時は、トイレスリッパを買って設置した記憶のように、二度と思い出さないようなガラクタだった。けれど映像と、歌舞伎とともに見にしたならとても大きな衝撃のような、体験のような様子で体内に入ってきた。だからこうして話してみたくもなる。機会があれば是非一度見て欲しい。  

Posted by twh78005 at 16:01Comments(0)